人望力
​なぜ人は彼らについていったのか

 
 

 

​西郷隆盛、二宮尊徳、徳川家康、ジョンソン大統領、

空母「セオドア・ルーズベルト」艦長・・・・・・

有能なだけでは人はついてこない。いつの時代でも問われるのは、人望力である。
では人望力はどこから生まれるのか。

歴史に学ぶリーダーシップの研究。

人望力とは、人々を動かす力のことー。

人望力は、特別な人の特殊な能力ではない。

誰もが備え得るものである。

 
ごあいさつ
 
 

致知出版
1,800円(税別)

 
 

このたび、致知出版社より、『人望力』を上梓いたしました。

 

昨春、アメリカの空母「セオドア・ルーズベルト」で新型コロナ感染症の艦内感染が発生した折、艦長の判断が話題になり、自らの立場を顧みず乗組員の安全を図った行動に、賛否が分かれました。

 

私はこのニュースに接したとき、ふと、第二次世界大戦中のインパール作戦における指揮官たちの行動を思い起こしました。自分の立場か、部下の命か、それとも組織統制が優先か。

否、組織を発展させるには、そもそも指揮官として欠けてはいけないものがあるのではないか。

 

コロナ禍の中、国際機関や大国の、有能で優秀なはずの人々が隠蔽や科学的見地に基づかない誤った判断、自らの立場を守るための言い訳など、多くの過ちを犯していました。

他方、冷静かつ国民の立場に立って、寝る間も惜しんで事態収拾に動く人々もおりました。

 

後者の指導者が国民の立場に立つことができたのは、自分の立場や時には身の危険も顧みなかったからこそであり、そういう人々によって悲惨になりかけた事態を正常に戻すことが、歴史では幾度となく繰り返されてきました。

 

そこに大きく作用したのは、人望の力、人望力ではないでしょうか。

 

空母「セオドア・ルーズベルト」の出来事を端緒に、インパール作戦での刑死覚悟の決断、海軍中将が戦場から持ち帰ったウィスキー瓶に託した思い、不敗の名将の「不敗」の理由、なぜ必敗なのに西郷隆盛に三百余名が従ったのか等(「地獄の中の人望力」)。

 

続いて、仕事ができる人物が困難にぶつかったときはどうか。アメリカのジョンソン大統領は、偏見に満ちた議会の中でいかにして公民権法を成立させたのか。あるいは二宮尊徳が農民たちから向けられた根拠なき不信感をどう拭い去ったのか(「仕事師の人望力」)。

 

豊臣秀吉のような強大なライバルに圧力を受け続けながら、なぜ徳川家康に多くの大名が従ったのか。あるいは、田中角栄全盛時代にどんなに冷遇されても勢力が衰えず、「田中一強」に真正面から戦いを挑んだ福田赳夫には、どんな力があったのか(「強大な競争者を凌駕する人望力」)。

 

人間の、本当の意味での「力」が試されているいま、人々を動かす人望の力「人望力」について、書かせて戴きました。ご高覧賜れば、幸いです。

2021年(令和3年)1月       

瀧澤 中 

 
 
目次

第1章 人望とはなにか

主な人物:

黒澤丈夫 元上野村村長(零戦パイロット)

●小さな村の大きな存在

●慕われる根底にあるものは?

●零戦乗りの矜持

●有能なだけでは人はついてこない

●「あの人に〝人望〟があったら、間違いなく総理だね」

●〝人気〟はあっても〝人望〟があるとは限らない

●人格者が行動を起こしてはじめて、人望は得られる

●技術論の前の「あるべき論」・「そもそも論」

 


第2章 「地獄」の中の人望力・その1

主な人物:

ブレッド・クロジャー 空母「セオドア・ルーズベルト」艦長

佐藤幸徳 陸軍中将

水上源蔵 陸軍中将

鮫島具重 海軍中将

 

【1】ブレッド・クロジャー 空母「セオドア・ルーズベルト」艦長

●巨大空母でコロナ感染

●乗組員たちが「キャプテン・クロジャー!」と叫びながら艦長の退艦を見送る

●正解のない問題にぶつかった場合どう決断すべきか

●上級士官をバイパスすることは是か非か

●全海軍の士気を守った艦長

●軍における〝人望の柱〟

 

【2】佐藤幸徳 陸軍中将

●上部組織も激しく非難したインパール作戦

●四〇キロの荷を背負って

●最低限の補給要請も叶えてもらえず

●戦いの最中に全師団長が更迭される

●作戦開始一ヶ月で食料が尽きる

●いまこの戦場を見て哭かない者は、人ではない

●ナポレオンが言い当てた指揮官の資質

●〝思考停止の法規第一主義〟に反抗した

 

【3】水上源蔵 陸軍中将

●もう一つの「抗命」

●徳の統率・水上源蔵少将

●二階級特進も軍神の名もなげうって

 

【4】鮫島具重 海軍中将

●艦長を殴った少尉

●「板倉少尉は、酒をやめられないか?」

●角瓶に泣き崩れる歴戦の勇士

●海軍大将の「部下を心から愛して下さい」

●人望は、テクニックではない


第3章 「地獄」の中の人望力・その2

主な人物:

宮崎繁三郎 陸軍中将

木村昌福  海軍中将

古屋佐久左衛門 衝鋒隊隊長

西郷隆盛

 

【1】宮崎繁三郎 陸軍中将

●〝しんがり〟を任された不敗の名将

●「申し訳の材料をつくる玉砕」をさせなかった男

●同士討ちを誘う日章旗

●量より質、質より和

●訓練とは、必勝の信念を堅持せしめるのが根本目的

●「絶対に見捨てずに背負ってゆけ」

●子猿を愛する将軍

●理屈を超えた信任

 

【2】木村昌福 海軍中将

●司令官が旗艦に乗艦したまま救助に向かう

●責任回避させてやらなくちゃあ。どうせ命中するのだから

●「業」に通ずる

 

【3】古屋佐久左衛門 衝鋒隊隊長

●他人の子のために英国領事館に怒鳴り込む

●勝海舟が説得に失敗した連中を納得させられる人物

●衝鋒隊は負けていても強かった

●会津・娘子隊を受け入れる度量

●まず私の首を刎ねてからにせよ

 

【4】西郷隆盛

●三七二名

●二十年ぶりに語った亡き西郷

●「西郷は案外知恵がなくなる男」なのか

●極限状態の中、西郷と「死出の旅」

●傷ついた将兵を一喝して見捨てない西郷

●我が誠の足らざるを尋ぬべし

 

 

第4章 仕事師の人望力

主な人物:

リンドン B・ジョンソン 第36代合衆国大統領

二宮尊徳

 

【1】リンドン・B・ジョンソン 第36代合衆国大統領

●あやうく零戦に撃墜されかけたのちの大統領

●人種差別が理屈を超えてしまう

●「公民権法反対派」と見られていたジョンソン

●敵対政党をも取り込むジョンソン

●「教育というものはあらゆるものに道を開いてくれるものです」

●ジョンソンが黒人の専属調理人に語りかけた言葉

●顔を拳一つ分まで近づける

●動機善なる暗躍者

●大統領自身がシャワーの水圧実験

●「アメリカ史上最も下品な大統領」の真実

●ゼファー・ライトとの関係に見る仁の心

 

【2】二宮尊徳

●疑心暗鬼と不信感の海の中で

●二宮尊徳の「報徳仕法」を簡単に言うと

●「二宮尊徳は、他国者を大切にして自分たちをないがしろにする」

●村民の心を動かしたもの

●共感なき人望は存在しない

●利他という「仁」をすべての基礎に置いていた

●人望は利他に大きく関係している


第5章 強大な競争者を凌駕する人望力

徳川家康

福田赳夫 第67第内閣総理大臣

 

【1】徳川家康

●家康嫌い

●秀吉のえげつない対家康包囲網

●圧倒的な力を誇る豊臣政権の中での生き残り戦略

●芸の細やかな家康

●家康独特の働きかけ

●家康の計算尽く以上の「何か」

●家臣と共にあろうとする家康

●家康がはらはらと涙を流した理由

●家康個人の質素・堅実な生活態度から諸大名が感じ取ったもの

●雨が漏るなら雨漏りする所だけを葺き直せ

●ふだんの生活の中にも、人望につながるものがある

 

【2】福田赳夫 第67代内閣総理大臣

●石原慎太郎の怒り

●優遇されない福田派がなぜ勢力を維持できたのか

●君はここで車を降りろ

●福田赳夫が早坂茂三に贈った勲章

●〝一線を越えない〟勇気

●母・ツタの口癖は、「決して〝ぶる〟な」

●日本全体をどうするのか、ということを念頭に

●福田の政治姿勢に共鳴する自治体

●忘れられがちな立場の人や地域に目を向ける

●シュミット首相の涙

●孤独なる天才であるよりも、友多き凡人たれ


終 章 人望を持つための条件

●人望力とは「型」の力であり、型である以上誰にでも習得できる

●人望の力の源

●人望ある言葉、人望なき言葉

●善い文は善い人間をつくり、人望の厚い人の言葉は人望の厚い人間をつくる

 
 
 

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