祥伝社 (2008)
760円+税

ISBN-10: 4396111010
ISBN-13: 978-4396111014

戦国武将の「政治力」

過酷な時代を生き抜いた「政治的判断力」に学ぶ

戦国時代と言うと、人はすぐに「敵将のしゃれこうべで酒を呑む信長」、「草履取りの藤吉郎」等々、面白いが史実かどうか微妙なエピソードを思い浮かべる。そしてそのエピソードが、戦国時代を理解する基礎になっていたりする。小説を愉しむだけならばそれで良いのだが、しかし、それでは本当の歴史は見えて来ない。

たとえば、司馬遼太郎の『関ヶ原』では、西軍の一方の旗頭だった上杉景勝の側近で、石田三成の親友とも言われる直江兼続は、豊臣家に忠誠を誓う正義の人物という描かれ方をしている。が、直江はそのようなヤワな人物ではなく、単に、徳川家康が勢力を持った場合、上杉家が相対的に弱くなることを恐れて石田三成に味方したのである。その証拠に、関ヶ原の戦いから15年後の大坂の陣では、直江は「いまこそ徳川家のご恩に報いる時である」と言って、かつて忠誠を誓った豊臣家の大坂城に攻め寄せている。

単純に情緒に流されていたのでは、戦国時代を生き抜くことなどできなかった。直江兼続の「政治的判断」が正しかったことは、歴史が証明している。直江が仕える上杉家は、あれだけ徳川に歯向かったにもかかわらず、領地は大幅に削られたものの、幕末まで名門の大名家として存在し続けたのだ。

時代を正しく認識することは、未来を正しく見据えることにつながる。戦国という、人間が生き残るにはあまりにも過酷な時代の中で、武将たちはどのような判断基準から自身の去就を決めたのか。文献だけでは見えて来ない、戦国大名たちの「政治的判断」を、現代の政治学の目を通して概観してみると、新たな戦国史が見えてくる。

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