目次
◇講義にあたって◇
●「歴史失敗学」とはなにか
●歴史失敗学とは〝自分を疑わないための学び〟
●あなた自身の「歴史失敗学」を
◎第一講 「組織」
(徳川幕府、日本海軍、海軍航空隊、大日本帝国憲法、水戸藩)
(1)変化に対応できない
●あなたなら通商を認める?
●すぐれた評論でも批判なら許さない
●徳川幕府、六〇年間の放置
●豊臣家に気を配る理由
●誰が未来を保証してくれるのか
●海の戦い方が大きく転換した「真珠湾奇襲攻撃」
●海軍中将の「私の頭は転換できず」
●自分でつくった成功に滅ぼされる
(2)運用を誤る
●日本海軍航空部隊の運用
●優れた装備も運用を誤れば負ける
(3)規則に縛られる
●「不磨の大典」
●憲法の不備を突く政治家
●「『不磨の大典』を変えることなどできまい」
●憲法や規則のために人々がいるわけではない
(4)指導者の不在
●水戸藩の悲劇
●リーダーを失ったあとの壮絶な派閥抗争
●三歳児まで殺す殺戮の派閥抗争
●藩主の命令に従わない家老
●藩主はいても指導者が不在
●指導者不在で組織は崩壊
〈総 括〉
◎第二講「指導者」
(松平容保、上杉鷹山、徳川慶喜、近衛文麿、武田勝頼、井伊直弼、高橋是清)
(1)「立派な人」の失敗
●立派な藩主の失敗
●彦根藩の変わり身の早さ
●容保がもし京都守護職を受けていなければ
●与えられた職責を超える展望を常に持つ
●徳のある指導者の言うことは素直に聞き入れる
●領地が八分の一になっても家臣を減らさない愚
●上杉鷹山が吹き続けた「種火」
●上杉鷹山の改革はなぜ反発を受けたのか
●異なる意見を聞いているか
●かかりすぎた「時間」
●ふて寝する徳川慶喜
●うたた寝をする近衛文麿
(2)能力見識と性格
●〝偉大な父〟を超える最大所領
●長篠合戦の敗戦後も七年間領地を維持
●武田家の敗因は国力の差
●索敵の不徹底を誘った〝勝利〟という魔物
●〝徳〟が失なわれていく行動
●二人の「井伊の赤鬼」
●教養が深い真面目な人物
●敵を敏感に反応させた政治的な粛正
●五〇年の粛正と一年の粛正
●指導者は常に複数の選択ができることを心がける
●敵対する者を懐に入れる
(3)組織運営への関心の薄さ
●総理大臣としてはパッとしない高橋是清
●組織への愛着の薄さ
●政党を愛した原敬との差
●名前を覚えるのは「相手に興味を持つ」こと
〈総 括〉
◎第三講 「重臣」
(彭徳懐、劉少奇、林彪、周恩来、片桐且元)
(1)ナンバー2の悲劇
●ナンバー2が排除されるとき
●史上最悪の人為的な餓死者
●毛沢東の「秘策」
●直言しても聞いてもらえるか?
●「文化大革命」は若者を利用した権力闘争
●指導者に盲目的に従うナンバー2の失敗
●ナンバー2の悲劇
●最強の〝ナンバー3〟
(2)忠義の限界
●指導者個人への忠誠か組織への忠誠か
●家康の難癖
●忠義の限界を示した片桐且元
〈総 括〉
◎第四講 「勝利」
(エルヴィン・ロンメル、本能寺の変、桶狭間合戦、日露戦争、長宗我部元親、マジノ要塞、戦艦「大和」、大坂城)
(1) 勝利の恐ろしさ
●〝ロンメル〟という言葉を使うな
●過去の成功は未来を担保しない
●意外なほど慎重だった信長
●本能寺を定宿にして利用しはじめた天正八年とは
●情報がまったく入らなかった
(2)直近の勝利の恐ろしさ
●桶狭間合戦での本当の敗北理由
●勝つための正しい準備の中に芽生える「慢心」
●日露戦争勝利を別な角度から見る
●日露戦争という失敗の種
●勝利を決定づけるのは将兵を活かすシステム
●第一次世界大戦を体感できず
●重化学工業化の遅れが戦い方の差に
(3)限られた範囲での勝利
●毛利元就四十三年、長宗我部元親二十五年
●限定的な範囲の勝利が開戦を決断させた
●限定範囲で勝利し中央事情も知っていることの怖さ
●情報は体感できない
(4)これがあれば大丈夫、という勝利への誤った確信
●「鉄壁の守り」も容易に破られる
●戦艦「大和」の機銃の数
●大坂城の焼け跡から見つかった膨大な金銀
●難攻不落の大坂落を崩壊させる「人の不和」
●もし小国に「ホワイトハウス」があったら
●難攻不落の大坂落を崩壊させたもの
〈総 括〉
◎第五講 「対外関係」
(足利義昭、蒋介石、福島正則、汪兆銘、台湾断交)
(1)他者を利用するしたたかさと愚かさ
●政治的基盤のない足利義昭の不思議
●「足利将軍家」というポンコツを外装だけピカピカにして京都までレッカー移動
●大名が連携する大義名分になった足利義昭
●「他人のふんどし」で成長し「他人のふんどし」で戦う
●世界を巻き込む蒋介石
●アメリカを利用しアメリカに呆れられた蒋介石
●国民の心が離れていく
●徳川を利用し徳川に使用され
●中央から離された「武断派」
●互いに利用価値が高かった福島正則と徳川家康
●福島正則の無理が通る
●政治の〝貸借対照表〟
●大国を頼った者の哀れな末路
(2)信頼を裏切ることの稚拙さ
●人格高潔で老獪さがない汪兆銘
●国際信義にもとる近衛文麿
●陸軍の本音を代弁した愚将
●アドルフ・アイヒマンと日本陸軍
●台湾断交は国際信義に反しないのか
●信義無き外交がどんな結果をもたらしたのか
〈総 括〉
◎第六講「経済」
(真空管、元禄時代、徳川吉宗、田沼意次)
(1)真の経済力の差とは
●真空管ラジオでわかる国力の差
●量は質に転化する
●民生用の市場が大きいければ製品は磨かれる
(2)負ける経済の仕組み
●黒字の元禄時代にできたこと
●知識で圧倒して権力を握る
●「立派な人だから、政策も立派」か?
●異質な老中・田沼意次
●老中全員が田沼意次と姻戚関係
●幕府の現金収入が増える仕組み
●自分に厳しい政治が必要
●ウソみたいな「大名救済策」
●政策の実施と中止を繰り返す
●熟慮したのち断行するのが指導者のあるべき姿
〈総 括〉
◎第七講 失敗を恐れるな
(福島丹波、宮崎繁三郎、駆逐艦「涼月」、「島津の退き口」、海軍兵学校、二宮尊徳、福田赳夫)
(1)負け方も大事
●見事な城明け渡し
●一人の餓死者も出さない奇跡の名将
●勇気と大局観で撤退を決意した駆逐艦
●戦後まで見据えた「島津ここにあり」
(2)先を見据える
●戦争末期なぜ「海軍兵学校」に四千人を超える若者を迎えたのか
●戦後を支える貴重な人材が確保された
●辛抱し粘り強く続ければ必ず失敗を挽回できる
(3)素直に省みる
●何がダメだったのかを知って、学んで、鍛える
●よき大将とは、一度大きな失敗をした者のことである
おわりに