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「幕末大名」失敗の研究

​Kindle版

電子版

PHP文庫 (2017)
780円+税

ISBN-10: 4569767303
ISBN-13: 978-4569767307

「江戸大名」失敗の研究
政治力の差が明暗を分けた

なぜ福島政則は、非徳川系の大名結集を画策しなかったのか。

なぜそうしないで、大国・徳川に豊富の命運を託してしまったのか。

二条城での家康と秀頼の会見のあと、加藤清正や浅野幸長らが相次いで死去した。これをやや荒唐無稽な「徳川の陰謀によって毒殺された」、という説にしたがってみると、面白いものが見えてくる。

つまり、大国・徳川にとって危険だったのは加藤清正や浅野幸長であって、福島正則ではなかったということ。

​なぜなら、福島正則は徳川に対して、死んだ二人よりも依存度が高かったからである。(本文より)

目次

第1章 残党の末路〜福島正則と蒋介石

 好色政治家の奇妙な律儀さ

 蒋介石の女性観

​ キリスト教を保護する荒くれ大名

 「ミニ太閤記」

 石田三成の驚異的な政治力

 「福島発言」の真意

 正則は「大国・徳川」を利用した

 「政治の貸借対照表」が読める家康

 西日本に徳川系大名を配置できなかった理由

 福島正則の貸借対照表

 大坂の陣の最中に正則が江戸にいた理由

 誰の目にも明白な福島正則の政治的敗北

 日本の保守陣営で高評価の蔣介石

 目的のためには黄河も決壊させる

 ルーズベルトに異常接近

 アメリカも蔣介石を利用したかった

 「愚劣で頑固で、卑しい男」

 弱い蔣介石を必死に支援するアメリカ

 蔣介石支援に変化

 アメリカの支援を止めさせない確実な方法

 国共内戦・蔣介石の敗因

 改革を進めず支援だけ欲しがる身勝手

 福島正則と加藤清正の違い

 川中島と台湾

 

第2章 手段が目的に変化した悲劇~最高権力者・田沼意次と田中角栄

 ズラリと並ぶ陳情客

 大座敷二間が岩石菖に占拠された

 汚濁にまみれた政治家か

 「人としてどうあるべきか」を説く遺訓

 田中角栄が子ども向け自伝に書いた人生訓

 「人として正しい生き方」と「金権政治」に矛盾がない理由

 我慢ならない「悪者」というレッテル

 なぜ田沼意次の出世は「異例」と言われるのか

 異例中の異例人事

 「雑務」をやったスターリンがなぜ実権を握ったのか

 絶大な権力を握ることができた側用人と自民党幹事長

 田沼意次の政権独占策

 塩をまかれた福田派議員

 なぜ「真面目な政治」は堕落していったのか

 キーワードは「許認可」と「請負」

 贈収賄の土壌はこうしてできた

 最も賄賂攻勢の対象になる立場にいた意次

 重なる政策の失敗

 田沼政治の失敗と成功

 田沼意次と田中角栄に見る「杜撰」と「拙速」の政治

 斬殺が生んだ政権の凋落

 意知斬殺事件とロッキード事件

 将軍の死とともに消えた田沼派

 「御不審を蒙るべきこと、身において覚えなし」

 「次の田沼」を探しはじめる

 松平定信と「クリーン三木」

 一年近く生き残った旧田沼派

 逮捕後の選挙で大勝した田中

 短期的(直感的)政策

 「何を(WHAT)やるか」と「いかに(HOW)やるか」の違い

 意次に開明的国家像はあったか?

 「先生、どうか説教してくれ」

 

第3章 「正義」が現実に勝つという失敗~「赤穂事件」と「二・二六事件」

 七十九歳の老人に四七発の弾痕

 吉良邸討死忠臣三八名

 赤穂浪士敗者説

 (1)浅野内匠頭の失敗

  吉良上野介に致命傷を負わせなかった政治的理由​

 (2)吉良上野介の失敗

  人を動かす術を知る人間ならば
  政治における「評判」を知らない吉良上野介
  赤穂事件の「政治的プロパガンダ」
  アメリカの政治宣伝原則に当てはまる赤穂事件 
 (3)幕府の失敗
  政治的行事を邪魔された結果の即日切腹
  想像力欠如の幕府
  さすがの幕府も慎重になった討入後の処置
 (4)赤穂浪士の失敗
  脱落者を最小限に抑えた大石の手腕
  幣原喜重郎の義士論 
  太宰春台の「幕府主敵論」は正しい
  動機が正しければ行動は肯定されるのか
  二・二六事件に表れる赤穂事件の陰 
  蹶起趣意書にも書かれていない政権構想
  真崎大将ですら知らなかった蹶起
  「希望による維新であり、期待による蹶起」
  なぜ宮城を占拠しなかったのか
  事件六日前の衆議院議員選挙で示された驚くべき民意
  なぜ蹶起将校は、現状を救い難いものと見たのか
  「黒い手」の農民とだけ会った高橋是清
  蹶起を促した「確証バイアス」
  残虐な殺し方を招いた「対応バイアス」
  重臣たちは貧困を経験していないか?
  「正義」が現実に勝つ悲劇
  押しつけられた銃口の痕が残り続けた
  

第4章 名君の宿命~上杉鷹山と濱口雄幸

 上流を目指す小舟

 狐狸が棲む城

 商人からも見放される

 無責任による藩政の悪循環

 板谷峠の種火

 純朴な青年藩主の意外な政治力

 鷹山の政治力を蘇らせた出来事

 指導者の節約が「格好つけ」に見える理由

 改革担当者はなぜ人間性まで攻撃されるのか

 国家も国民も疲れ果てて利益を出すことができない

 田沼意次と上杉鷹山の意外な共通点

 反対勢力は協力勢力

 貧しい農民の妻が献上した粗末な布を仕立てる鷹山

 「鷹山伝説」の仕組み

 「ああいうことは、なかなかできるものじゃない」

 らしくない政治家・濱口雄幸

 国家財政は驚異の「十五年で三倍の歳出」

 「奮起して諸君とともにあらゆる困難と闘う」

 「自信が鼻先にぶら下がっているような人」

 井上準之助の軽率な発言

 政治家としての美点であり弱点

 名君の宿命

 

終章にかえて 幕府崩壊~改革の失敗と戦いの放棄

 絶体絶命の宇都宮藩を救ったもの

 転封が実施されなかった理由

 家康の実の子も例外なく処分

 巨大な組織が崩壊していく最初の「蟻の一穴」

 ルーチン仕事に追われている老中では敵わない徳川吉宗の知識

 幕府の政治生命をむしばむ静かで大きな一歩

 運ばれてきたのはただの生味噌

 「保守的を通り越して復古的」になったわけ

 「幕府という蛙」を入れた鍋

 二〇万石から六万石になることを望んだ男

 餓死した南町奉行

 正しく理解できても誤った方法で解決を図る政治家

 国内にしか通用しない屁理屈

 諸大名への意見聴取は幕府への失望を生んだ

 井伊直弼への再評価が必要

 幕府を滅ぼした「瘠我慢」できない人々

 井伊直弼の彦根藩ですら

 徳川の最期を照らす火

 

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